Make(旧Integromat)は、複数のクラウドサービスを画面上でつないで業務を自動化するツールです。コードを書かずに、条件分岐や繰り返しを含む処理を組めます。
検索でつまずくのは、この名前が英語の一般語と衝突していることです。実際、make とは で検索するとAI Overviewは英語の動詞makeの意味を答えます。自動化ツールのMakeを探しているなら、`make ノーコード` か `make 自動化` で調べるほうが早く着きます。
以下の数値と仕様は、2026年8月13日に公式サイトから取得したものです。通貨はUSD表記のままにしています。
出典: Make 公式サイト
Makeで何ができますか?
トリガーになる出来事を起点に、複数のサービスをまたいだ処理を順番に実行できます。公式が挙げる対応アプリは3,000以上、AI関連のアプリは350以上です。
Makeの特徴は、処理の流れを図として組み立てる点にあります。モジュールを線でつなぎ、途中にルーターを置いて分岐させ、条件に合うものだけを先へ進めます。分岐と繰り返しを画面上で見られるため、複雑な処理でも構造が目で追えます。
AI関連の機能も標準で用意されています。AIエージェントの構築(ベータ)、外部のAIからMakeのシナリオを呼び出すMCPサーバー、ファイルから構造化テキストを取り出すAI Content Extractor、自然言語で自動化を組むMaiaです。
実際に任せる処理の形
BtoBの現場でよく置かれるのは、人が判断しなくてよい受け渡しです。問い合わせフォームの回答を受けて、内容から担当を振り分け、CRMへ登録し、担当者へ通知する。ここまでが1本のシナリオになります。
分岐が効くのはこの「振り分け」の部分です。業種や企業規模、フォームの選択肢で経路を分け、それぞれ違う処理へ流せるため、条件が複数ある業務ほど価値が出ます。 1本道の通知だけなら、この強みは使われません。
もうひとつよくあるのが、定期実行の集計です。毎朝、前日の数値を各ツールから集めてまとめ、チャットへ投げる形です。人が毎日やっている転記作業は、たいていこの形に置き換わります。
何から作ると失敗しにくいか
最初に作るのは、失敗しても業務が止まらない処理にしてください。フォームの回答をチャットへ通知する、スプレッドシートの行追加をきっかけに別のシートへ転記する、といった一方向の処理です。
最初から基幹データの書き換えを組むと、動作確認そのものが本番の書き込みになります。 Makeは1回の実行で複数のサービスへ書き込めるぶん、誤った設定の影響範囲も広くなります。
料金はクレジットで数える
Makeの課金単位はクレジットです。公式は「シナリオ内の各モジュールのアクション(Googleスプレッドシートへの行追加、Gmailのデータ取得など)が1クレジットとしてカウントされる」と定義しています。
プラン | 月額(10,000クレジット時) | 含まれる主なもの |
|---|---|---|
Free | 0ドル | 月1,000クレジット、3,000以上のアプリ、ルーターとフィルター、実行間隔は最短15分 |
Core | 9ドル | アクティブなシナリオ数が無制限、分単位のスケジュール、Make APIへのアクセス |
Pro | 16ドル | シナリオの優先実行、カスタム変数、実行ログの全文検索 |
Teams | 29ドル | チームとロール、シナリオテンプレートの作成と共有 |
Enterprise | カスタム料金 | カスタム関数、24時間365日サポート、超過保護、高度なセキュリティ |
月払いと年払いを選べます。
表の金額は「月10,000クレジットのとき」の価格です。 Makeの料金は必要なクレジット数で変わる形になっており、プランを選んだうえで月あたりのクレジット数を指定します。同じCoreプランでも、必要なクレジットが増えれば月額は上がります。
したがって、他社と比べるときにプラン名だけを並べても意味がありません。先に自社の月間クレジット数を出し、その数量での価格どうしを比べてください。
検索で見かける「オペレーション課金」という説明について
make ノーコード の検索結果には、MakeとZapierの違いを「Zapierはタスク課金、Makeはオペレーション課金」と説明するものが出てきます。
公式の現行表記はクレジットです。(2026年8月13日時点)用語が一致しないため、二次情報の説明をそのまま社内の見積もりに使わないでください。プランの選定は公式の料金ページで確認したほうが確実です。
見積もりの立て方
必要なのは、シナリオごとの月間実行回数と、1回の実行で動くモジュールの数です。
1日20件のフォーム回答を、通知とスプレッドシート転記の2モジュールで処理するなら、月20営業日で800クレジット。無料プランの1,000クレジットに収まります。ここに分岐と2件の外部書き込みを足すと、同じ件数でも月2,000クレジットを超えます。
増えるのはシナリオの本数ではなく、1回の実行で動くモジュールの数です。 見積もりを外す原因は、たいてい繰り返し処理にあります。1件の入力に対して配列を10件ループするモジュールを置けば、その分だけ数えられます。
紙の上で数えるより早いのは、小さく作って1回動かし、実行ログで実際に動いたモジュールを数えることです。設計図の見た目と実際の実行回数はずれます。分岐で通らなかった経路は動かず、ループは件数分だけ動くためです。
この確認を最初の1本でやっておくと、以降の見積もりの精度が変わります。 本番に載せる前の1回の実行で、月あたりの当たりが付きます。
なお、実行ログの全文検索が使えるのはProプラン以上です。シナリオが増えてから過去の実行を追う必要が出ると、ここが効いてきます。
MakeとZapierの違いはどこですか
両方とも、アプリ同士をつないで自動化するツールです。実務で効いてくる違いは3つあります。
1. 課金の数え方の定義が違う
Makeは「各モジュールのアクションが1クレジット」と定義しています。一方Zapierは、アクションが正常に完了したときにタスクを数え、Filter・Formatter・Paths・Delayなどの組み込みステップは課金対象外だと明示しています。
分岐や整形を多く使う処理では、この定義の差が費用に出ます。 どちらが安いかは処理の形で変わるため、自社のシナリオを両方の定義で数えてから比べてください。Zapier側の詳細はZapierとSlackの連携で扱っています。
2. 組み立て方の見え方が違う
Makeは処理を図で組み立て、分岐や繰り返しが線として見えます。Zapierは上から下へ手順を並べる形です。分岐が多い処理ほど、Makeのほうが構造を把握しやすくなります。
逆に、1本道の単純な連携であれば、並べるだけのほうが速く作れます。
この差は、作るときよりも直すときに出ます。半年前に作った処理を別の人が触るとき、分岐の関係が線で見えるかどうかで、読み解きにかかる時間が変わります。運用する人数が増える見込みがあるなら、見た目の分かりやすさは費用と同じくらい効く選定条件です。
3. 日本語の情報の量が違う
Zapierは公式サイトに日本語ページがあります。Makeの公式サイトは、2026年8月13日時点で日本語版が見つかりません。/ja/ を開くと /en/ja/ へ転送されて404になり、代替言語の宣言(hreflang)も置かれていません。
管理画面の表示言語は公式サイトからは判別できないため、必要なら直接問い合わせてください。 社内に英語のドキュメントを読む前提を置けるかどうかは、選定の実務的な条件になります。
日本で使うときに確認すること
公式サイトが英語のみである以上、確認が必要なのは次の3点です。
管理画面と通知の言語 — 日常的に触る人が読めるか
サポートの言語と時間帯 — 障害時にどこへ、何語で連絡するか
データの保管場所 — 扱う情報によっては契約前の確認事項になる
3つ目は、顧客データや個人の連絡先をシナリオに通す場合に効きます。自動化は「どのデータがどこを通るか」を増やす作業なので、通る先が増えた時点で確認が要ります。
社内の合意という点では、英語のみという条件が実務でどう出るかを先に共有しておくと揉めません。作る人が読めても、引き継ぐ人が読めなければ、その自動化は引き継げないためです。
現実的な落としどころは2つあります。シナリオの命名とメモを日本語で統一して、画面が英語でも中身が読める状態にすること。 そして、公式ドキュメントを参照する手順を日本語の運用書に写しておくことです。どちらも作った時点でやれば数分で済み、後から遡ると手が付けられなくなります。
向いているケース、向いていないケース
状態 | 判断 |
|---|---|
分岐や繰り返しが多く、処理の構造を目で追いたい | Makeが向く |
月の実行回数が読めていて、モジュール数を数えられる | Makeが向く |
英語のドキュメントを読む前提を社内に置ける | Makeが向く |
1本道の通知が中心で、本数だけが増える | どちらでもよい。作りやすい方を選ぶ |
日本語のサポートと情報量が選定条件に入る | 先に確認が要る |
止まると請求や納品が遅れる処理を載せる | ツール選定より先に、監視と復旧の設計が要る |
最後の行が実務では一番重要です。どのツールを選んでも、止まったことに気づく仕組みが無ければ同じ事故が起きます。
無料プランは実行間隔が最短15分です。即時性が要る処理を試すなら、この制約を先に外してから評価してください。無料プランで「反応が遅い」と判断すると、評価そのものを誤ります。
併用という選択肢
MakeとZapierのどちらかに寄せる必要はありません。実務では、分岐が多い処理をMake、単純な通知をZapierに置いて併用している例があります。
ただし併用すると、監視先と請求先が2つになります。分けるなら、業務の単位で分けてください。 同じ業務の処理が2つのツールにまたがると、止まったときにどちらを見ればよいかが分からなくなります。
判断の順番としては、まず今動いている処理を一覧にして、分岐の数と月の実行回数を書き出します。そのうえで、どちらの課金定義で数えたほうが安いかを比べます。ツールを決めてから業務を数えるのではなく、業務を数えてからツールを決めます。
自動化を運営構造として設計する
ツールの選定は、自動化の入口にすぎません。本数が増えたときに問題になるのは、どのツールを選んだかではなく、増えた後の設計です。
決めておくのは4つです。
所有と権限 — シナリオを誰のアカウントに置き、誰が編集できるか。Makeではチームとロールの機能がTeamsプランから使えます
監視 — エラーで止まったことを、誰がどこで知るか
費用の見え方 — クレジットの消費が月内のどこで伸びるかを、誰が見ているか
棚卸しの周期 — 使われなくなったシナリオを止める判断を、いつ誰がするか
3つ目については、Enterpriseプランに超過保護が用意されています。裏を返せば、それ以下のプランでは超過を自分で管理する前提ということです。月の途中で消費を見る担当を決めておかないと、気づくのは請求のときになります。
4つ目の棚卸しは、シナリオの命名を先に決めておくと成立します。何をするシナリオか、どの業務に属するか、誰が持っているかが名前から分かる形にしておく。名前が「新規シナリオ」のまま20本並んだ状態からは、棚卸しを始められません。
止めていいかどうかの判断材料は、最終実行日と、止めたときに困る人がいるかの2つです。前者はツールで分かり、後者は人に聞くしかありません。だからこそ、誰が持っているかを名前に残しておく価値があります。
diverは、業務フロー全体をAI前提で設計し、ツール選定から実装、定着までを担う社外RevOpsチームです。個々のシナリオを作る前に、どの業務をどの層で自動化するかを決めます。全体の考え方はAIワークフロー自動化に、同種のツールの比較はn8nとはにまとめています。
どのツールを選ぶかの手前で迷っている場合は、diverに相談するから、いまの業務の棚卸しだけでも相談できます。
よくある質問
ノーコードのMakeとは何ですか?
複数のクラウドサービスを画面上でつないで業務を自動化するツールです。旧称はIntegromatです。モジュールを線でつなぎ、ルーターで分岐させる形で処理を組み立てます。コードを書かずに、条件分岐や繰り返しを含む処理を作れます。
MakeとZapierの違いは何ですか?
実務で効くのは3つです。課金の定義(Makeは各モジュールのアクションが1クレジット、Zapierはアクション完了時にタスクを数え組み込みステップは課金対象外)、組み立て方の見え方(図か、上から下への並びか)、日本語情報の量(Zapierは公式に日本語ページがある)です。費用の優劣は処理の形で変わります。
プログラミングでいうmakeとは違うものですか?
違います。ソフトウェア開発で使うmakeは、ソースコードから実行ファイルを組み立てるビルド自動化ツールです。この記事で扱うMakeは、クラウドサービス同士をつなぐ自動化サービスで、別のものです。検索結果にはどちらも出てくるため、make ノーコード のように語を足して調べてください。
Makeは無料で使えますか?
無料プランがあります。月1,000クレジットまで、3,000以上のアプリに接続でき、ルーターとフィルターも使えます。制約として、実行間隔が最短15分です。即時性が要る処理の評価には向きません。
Makeの日本語版はありますか?
公式サイトは2026年8月13日時点で英語のみです。/ja/ を開くと /en/ja/ へ転送されて404になり、代替言語の宣言も置かれていません。管理画面の表示言語は公式サイトからは判別できないため、必要であれば直接問い合わせてください。
Integromatとの関係は何ですか?
Integromatは旧称です。同じサービスがMakeに名称変更されました。検索結果や社内の資料にIntegromatの表記が残っている場合、指しているものは同じです。
ただし、Integromat時代の解説記事は画面と料金体系が現在と違います。手順を見ながら作業するときは、公開日を確認してから使ってください。古い記事の課金の説明をそのまま見積もりに使うと、金額が合いません。
クレジットはどのくらい必要ですか?
シナリオごとの月間実行回数と、1回の実行で動くモジュール数を掛けて見積もります。増える要因は本数ではなくモジュール数で、特に繰り返し処理が効きます。1件の入力に対して10件をループすれば、その分だけ数えられます。
ノーコードツールは危険ですか?
ツールそのものではなく、設計の問題です。危ないのは、誰が作ったか分からないシナリオが基幹データを書き換えている状態と、止まったことに誰も気づかない状態の2つです。所有者・監視・停止基準を決めていれば、ノーコードであることは危険の理由になりません。
作ったシナリオを他の人へ引き継げますか?
チームとロールの機能はTeamsプラン以上に含まれます。それ以下のプランでは、作った人のアカウントに紐づく前提で運用することになります。引き継ぎで実際に困るのは設定そのものより、何のための処理か分からないシナリオです。命名とメモを日本語で残しておくと、画面が英語でも読めます。
止まったときはどうやって気づけばよいですか?
エラー通知を業務用とは別のチャンネルに流し、誰が見るかを決めておきます。Makeでは実行ログを確認できますが、Proプラン以上でないと全文検索が使えません。復旧の速さは、ログを探せるかどうかで決まります。
参照元
記事情報
著者: diver編集部
レビュー: diverチーム
更新日: 2026年8月13日
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