n8nは、外部サービスやAIモデルをつないで業務を自動化するワークフロー自動化ツールです。ブラウザ上のエディタでワークフローを組み立て、n8nのクラウド版と、自社が用意したサーバーで動かすセルフホスト版のどちらでも利用できます。
検討の入口でつまずきやすいのは「無料で使えるのか」です。n8nはソースコードがGitHubで公開されている一方、ライセンスは利用目的を限定しています。ここを取り違えたまま導入を進めると、後から利用範囲の確認をやり直すことになります。
以下の料金・ライセンス・動作要件は、公式サイト、公式ライセンス本文、公式ドキュメントから2026年8月12日に取得したものです。数値も条文も変わるため、判断の前に原典で確認してください。
n8nとは
n8nは、アプリケーション間のデータのやり取りと処理の順序を1つの画面で定義し、自動で実行させるツールです。公式サイトは自らを "AI Workflow Automation Platform" と表記し、連携先を "over 500 integrations" と記載しています(2026-08-12取得)。
AI関連の位置づけとして公式が挙げているのは、モデルを自由に接続できること、判断を1つずつ検証できること、処理の途中に人を介在させられることの3点です。マルチエージェント構成と、社内データを参照させるRAGにも言及しています。
押さえておく4つの用語
n8nの説明は、次の4語がわかると読み解けます。いずれも公式ドキュメントの定義です(2026-08-12取得)。
ワークフロー(workflow)は処理のまとまりです。"An n8n workflow is a collection of nodes that automate a process." と定義されており、トリガー条件が発生すると実行が始まり、順に処理が進みます。
ノード(node)はワークフローを構成する部品です。"nodes are individual components that you compose to create workflows" と定義され、データの取得・送信・加工、条件分岐、外部サービスとの接続を担います。
トリガーノード(trigger node)は起点です。"All production workflows need at least one trigger to determine when the workflow should run." とされており、本番で動かすワークフローには最低1つ必要です。Webhookの受信、スケジュール、外部サービス側のイベントなどを起点にできます。
認証情報(credential)は接続先の鍵です。"credentials store authentication information to connect with specific apps and services" と定義され、APIキーやOAuthの情報をノードとは別に保管します。ワークフローを共有しても認証情報は分けて管理できる、という設計です。
出典: n8n 公式ドキュメント(2026-08-12取得)
つまりn8nでの構築作業は、起点を1つ決め、必要なノードを並べ、接続先ごとに認証情報を登録する、という手順に分解できます。
提供形態はクラウドとセルフホストの2つ
提供形態は2つに分かれます。公式ドキュメントは両者を次のように区別しています(2026-08-12取得)。
比較項目 | n8n Cloud | セルフホスト |
|---|---|---|
導入 | "No installation needed" | "Requires setup (npm, Docker, or server)" |
インフラ | "Fully hosted by n8n" | "You must provide and manage infrastructure" |
技術知識 | "None required" | "Required for installation and configuration" |
カスタマイズ | "Limited to available options" | "Full control over deployment" |
出典: n8n 公式ドキュメント(2026-08-12取得)
この2択が、料金にもライセンスの確認範囲にも影響します。順に見ていきます。
n8nは無料で使えますか?
セルフホストのコミュニティ版は、ライセンスキーなしで無償で動作します。ただし許諾の範囲は「自社の内部業務目的」に限定されており、これはライセンス本文で明示されています。
n8nのライセンスは Sustainable Use License, Version 1.0 です。本文は次のとおりです。
"You may use or modify the software only for your own internal business purposes or for non-commercial or personal use."
— https://raw.githubusercontent.com/n8n-io/n8n/master/LICENSE.md(2026-08-12取得)
同じライセンス本文で、ソフトウェアの配布は非商用目的かつ無償の場合に限る、と定められています。またファイル名に .ee. を含むファイルはEnterprise Editionの対象で、別途 n8n Enterprise License が必要です(LICENSE_EE.md)。
公式ドキュメントも、ライセンスキーがない状態ではコミュニティ版として動作し、BusinessまたはEnterpriseのライセンスキーを追加するとそのエディションが有効になる、と記載しています(2026-08-12取得)。
つまり「無料で使えるか」は、機能の話ではなく利用目的の話です。自社の業務で自社が使うのか、顧客に提供する形で使うのかで、確認すべき条項が変わります。
判断はライセンス本文と自社の法務で行ってください。本記事は条文と原典の場所を示すに留めます。日本語の解説記事を根拠にせず、原文にあたることを推奨します。
n8nの月額料金はいくらですか?
クラウド版の公開価格は次のとおりです。ユーロ建て、年払い前提の表示です。
プラン | 価格 | 実行数 | 同時実行 | 提供形態 |
|---|---|---|---|---|
Starter | 20€/月(年払い) | 2.5K workflow executions | 5 | Cloud |
Pro | 50€/月(年払い) | 10K executions | 20 | Cloud |
Business | 667€/月(年払い) | 40K executions | — | セルフホスト |
Enterprise | 要問い合わせ | カスタム | 200+ | n8nホスト / セルフホスト |
出典: n8n 公式サイト(2026-08-12取得)。為替で陳腐化するため円換算は載せていません。
課金の考え方について、公式は "Pricing based on monthly workflow executions, regardless of complexity" と記載しています。ワークフロー1回の実行が課金の単位で、その中のステップ数は課金に影響しません。
分岐やループを含む長いワークフローでも、1回動けば1実行です。処理1つずつを数える方式とは、コストの伸び方が変わります。この違いは次のセクションで扱います。
n8nは何に使うのですか?
用途は大きく2つに分かれます。アプリケーション間のデータ連携と、AIを組み込んだ判断・生成の自動化です。
前者は、フォーム送信をCRMへ登録する、受注をチャットへ通知する、複数システムの値を突き合わせて更新する、といった処理です。500を超える連携先が用意されているため、多くは既存ノードの組み合わせで組めます。
連携先に専用ノードがない場合も、HTTP Requestノードで直接APIを呼べます。公式ドキュメントはこのノードを "one of the most versatile nodes in n8n" と説明し、n8nが専用対応していないサービス向けの汎用認証も用意されています(2026-08-12取得)。
既存ノードで表現しきれない加工には、Codeノードを使います。"The Code node lets you run your own JavaScript or Python inside a workflow, so you can transform data or add logic the built-in nodes don't cover." と定義されており、JavaScriptとPythonが使えます(2026-08-12取得)。
ノーコードで組み始めて、必要な箇所だけコードに落とせる。これがn8nの構築スタイルです。
後者は、AIモデルを処理の途中に置く構成です。公式が挙げているのは、モデルを差し替えながら判断を1つずつ検証する使い方と、社内データを参照させるRAGの構成です。処理の途中に人の確認を挟めるため、生成結果をそのまま外部に出さない設計にもできます。
業務側から見ると、n8nが担うのは「つなぐ」部分です。つないだ先のデータが重複していたり、項目の定義が部門ごとに違っていたりすると、自動化しても出てくる結果は揃いません。
自動化を入れる前に、参照するデータがどの状態にあるかを確認しておく必要があります。重複した企業レコードが2件あれば、通知も2回飛びます。ツールの設定ではなく、データ側の問題です。
n8nの何がすごいのですか?
他ツールとの差が出るのは、設計上の選択です。特に効いてくるのは課金単位と実行環境の2点で、機能数の比較では見えません。
課金単位が「実行回数」である
主要な自動化ツールの課金単位を、各社の公式表記で並べます(いずれも2026-08-12取得)。
ツール | 課金単位 | 公式の表記 |
|---|---|---|
n8n | ワークフローの実行回数 | "Pricing based on monthly workflow executions, regardless of complexity" |
Make | クレジット | "As of August 27, credits are the billing unit in Make." / "Each action your scenario performs consumes a certain number of credits - most actions consume 1 credit" |
Zapier | タスク | "A task is counted whenever Zapier successfully completes a unit of work for you." |
出典: n8n 公式サイト / Make 公式サイト / Zapier 公式サイト
違いは、実行1回を単位にするか、処理1つを単位にするかです。上記の定義から、消費量の伸び方を計算できます。
20ステップのワークフローを月1,000回動かす場合、実行単位なら1,000です。処理単位では、各ステップが1つずつ計上されるため最大20,000になります。同じ業務でも、数え方によって必要なプランが変わります。
逆に、3ステップのワークフローを50本、それぞれ月100回動かす運用では、実行単位で5,000、処理単位で最大15,000です。差は3倍に縮みます。
優劣ではなく、自社の自動化がどちらの形をしているかで選ぶ論点です。既存の自動化があるなら、ワークフロー数と1本あたりのステップ数を数えてから比較してください。数えずにプラン表だけを比べると、判断を誤ります。
なお、上の計算は各社の課金単位の定義から導いた目安です。実際の消費量は処理内容によって変わるため、契約前に各社の公式ページで最新の条件を確認してください。
実行環境を自分で選べる
クラウド版とセルフホスト版のどちらでも同じワークフローを動かせます。データを外部に出せない、社内ネットワーク内のシステムに接続したい、といった条件があるとき、セルフホストが選択肢になります。
ただし選べることは、無条件の利点ではありません。セルフホストを選ぶと、動かし続ける責任も自社に移ります。
セルフホストで運用するとき何が必要になるか
無料の対価は運用工数です。公式ドキュメントも、セルフホストをエキスパート向けと明記しています。
"n8n recommends self-hosting for expert users."
"Mistakes can lead to data loss, security issues, and downtime."
— n8n 公式ドキュメント(2026-08-12取得)
構築時点の要件は次のとおりです(2026-08-12取得)。
Node.js: "n8n requires a Node.js version between 20.19 and 24.x, inclusive."(npmでインストールする場合)
Docker: ボリューム n8n_data を /home/node/.n8n にマウントしてデータを永続化し、環境変数 GENERIC_TIMEZONE と TZ でタイムゾーンを指定する
データベース: "By default, n8n uses SQLite to save credentials, past executions, and workflows." 本番運用ではPostgreSQLを選択できる
構築は一度で終わりますが、運用は終わりません。導入後に続くのは次の作業です。
バージョン更新への追随。 n8nは更新が速く、ノードの仕様も変わります。更新するかしないかを判断し、更新するなら既存ワークフローの動作を確認する担当が要ります。
認証情報の管理。 接続先が増えるほど、保管された鍵も増えます。誰がどの認証情報を使えるか、退職時に何を無効化するかを決めておく必要があります。
実行失敗の検知と復旧。 自動化は失敗しても静かに止まります。失敗を検知する仕組みと、原因を切り分けて再実行する手順がないと、止まっていることに数日気づきません。
バックアップと復旧テスト。 既定のSQLiteはコンテナのボリューム上にあります。バックアップを取るだけでなく、実際に戻せるかを試しておく必要があります。
ワークフローの統制。 本数が増えると、誰が作ったか、何のためのものか、止めてよいかが分からなくなります。命名規則、所有者、変更手順を最初に決めておくと後戻りが減ります。
ここまでを誰が担うかが、セルフホストの実質的なコストです。社内にインフラ運用の担当がいない場合、クラウド版を選ぶか、運用を外部に任せるかの判断になります。
diverは、業務フローの設計からツールの実装、運用の定着までを担う社外RevOpsチームです。n8nを含む自動化基盤について、構築だけでなく運用まで含めて設計したい場合は、diverへ相談するところから始められます。
よくある質問
n8nの画面は日本語にできますか?
公式ドキュメントは、UIの言語を環境変数 N8N_DEFAULT_LOCALE で指定できると記載しています。値は "A locale identifier, compatible with the Accept-Language header. n8n doesn't support regional identifiers, such as de-AT." とされています。
同ドキュメントは "When running in a locale other than the default, n8n displays UI strings in the selected locale, and falls back to en for any untranslated strings" とも記載しています。対応言語の一覧は掲載されていません。日本語表示がどこまで及ぶかは、導入前に実機で確認してください(2026-08-12取得)。
n8nのソースコードは公開されていますか?
公開されています。ソースコードはGitHubで取得でき、セルフホストのコミュニティ版はそこから動かせます。
ただし、付いているライセンスは Sustainable Use License, Version 1.0 で、利用は「自社の内部業務目的」または非商用・個人利用に限定されています。再配布も非商用かつ無償の場合に限られます。ソースが公開されていることと、利用が自由であることは別の話です。自社の使い方が許諾の範囲に入るかは、ライセンス本文で確認してください(2026-08-12取得)。
インストールせずに試せますか?
試せます。公式ドキュメントは "You can try n8n without installing it using npx" と記載しており、npx n8n で起動できます。クラウド版を契約して試す方法もあります(2026-08-12取得)。
コミュニティ版と有償エディションの違いは何ですか?
ライセンスキーの有無です。キーがなければコミュニティ版として動作し、BusinessまたはEnterpriseのライセンスキーを追加するとそのエディションが有効になります。ファイル名に .ee. を含むファイルは、別途 n8n Enterprise License の対象です(2026-08-12取得)。
n8nとMake、Zapierはどう使い分けますか?
課金単位と実行環境で分かれます。ステップ数の多いワークフローを組む、実行環境を自社に置く必要がある、という条件が強いほどn8nが合います。小さな自動化を非エンジニアが数多く作る運用では、処理単位で課金するツールの方が管理しやすい場面があります。
検討を進めるときの順番
n8nの検討で最初に決めることは2つあります。自社の利用目的がライセンスの許諾範囲に収まるか、そして実行環境を自社で持つか。
この2つが決まれば、料金プランの比較は短時間で終わります。逆に決めないまま機能比較から入ると、後から前提が変わって検討をやり直すことになります。
自動化の対象業務が部門をまたぐ場合は、AIワークフロー自動化の考え方もあわせて確認してください。
参照元
記事情報
著者: diver編集部
レビュー: diverチーム
更新日: 2026年8月12日
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